手抜き工事 | ||||
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一頃、手抜き除染が話題になったが、今日は、手抜き工事に絡んだことを話したい。 大学に入って、学園紛争で締め出され、あれこれアルバイトをして時間をつぶしたが、懐かしいのが、夜中の工事現場のバイトだった。確か、夕方過ぎにターミナル駅で待ち合わせて、ワゴン車のような車で工事現場まで連れて行かれ、翌朝まで仕事し、その途中で、いわゆる飯場でご飯を頂くというスタイルである。その中で、確か、大きな駅前の交差点の歩道橋の工事に行ったことがある。 誰がどう偉いのかはよく分からなかったが、私たちは、アルバイトの現場作業員で一番の底辺であり、我々を束ねる人(この人も大学の先輩だった)、その上の見回りのような人、そして、多分より上の会社からきている監督のような人がいたと思う。で、思いだすのが、溝を深く掘っていた時のことだが、規定通りの深さまで掘っていることを示すために、監督がその写真を何枚か撮った。但し、四隅のうちの一隅だけである。監督曰くに、「(写真は)一か所に一つあれば十分だ、・・・」といったことであったように記憶する。最終的にそれがどのような工事になったかは、知らないが。 阪神大震災でも、多くの手抜き工事がばれたが、建築・土木工事に手抜きがあったとしても、大地震でも来て根っこから建築物が壊れでもしない限り、ばれることはないだろうと思う。ある程度の大きな工事になると、多くの人が関わっており、そのどこかで多少の手抜きがあってもそれは当然のことと思うしかない。問題は、それがどの程度悪質か、危険か、はたまたちょっとした「手抜き」ということで済ませられる程度のものなのかということであろう。 道路や、陸橋に関して言えば、うまく手を抜いても、通常はさほどの大事にはならないであろうと、ある程度楽観視することも可能なように思う。 が、問題は、原発のような複雑な施設の場合にこのリスクをどう考えるかである。 ちなみに、昨年末の笹子トンネル事故を契機にして、多くのトンネルで調査が行われ、いろんな不具合があることが続々と明かされてきている。 同じようなことは、原発施設でもあったとみた方がよいと思われる。ここで怖いのが、恐らく、原発施設では、どこをどう手抜きするとどんなリスクが生じるかすら、完全に予測できる人物はいないであろう、ということである。そうなると、ちょっとした手抜き、あるいは大まかな工事でも、とんでもない災難をもたらす原因になり得るということであり、ここに、怖さがある。強度がどうだ、・・・がどうだ、と言ったところで、その通りに工事がされていなければ、絵に描いた餅であり、又、手抜きや手抜きとは言えないような不具合を完全に取り去ることはできないとすると、このリスクは、本当に怖い。 福島原発の事故調査には、始めから期待していないので、その内容を知ろうとも思わないが、実は、そこで手抜き工事が事故の発生や悪化に関わっていなかったという保証すらないのである。ことによると、どこかの誰かは、「ひょっとして、俺のあの時のあの手抜きの所為か?」なんて思っているかもしれないのである。 |
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