オリンパス問題と監査法人 | ||||
15.オリンパス問題と 監査法人 2011/11/10 14.内容証明郵便は 合憲か? 2011/09/28 13.無罪判決 2011/09/14 12.内閣の記者会見は バラエティ番組? 2011/09/12 11.首相が変わって 何がどう悪い? 2011/09/01 10.風評被害と マーケットの力 2011/08/01 9.裁判員は素人か? 2011/06/30 8.原発の安全性と マーケット機能 2011/06/09 7.昔の方が、まだ、 ましだった? 2011/06/02 6.ちょっと気分と角度を 変えて原発問題を考 えてみる 2011/05/19 5.科学的な地震予知? 2011/04/25 4.(福島)原発事故と 賠償責任 2011/04/18 3.地震で思い出した 祖母の話 2011/03/28 2.103歳のジャッジ 2011/02/02 |
以前からずっと、上場会社などに義務付けられている監査法人による監査がどれくらい実際の役に立っているのか、あるいは害を及ぼしているのか、につき疑問を持っていた。そして、今回の突然降ってわいたようなオリンパスの損失隠ぺいを聞いて、「やっぱり、害の方が大きい」と確信できるようになった。 「上場会社は、監査法人に監査を頼もうが自分でやろうが、あるいは、全く別の組織に監査を依頼しようが、原則自由とし、かつ、上場会社に関する論評は、それが意図的な虚偽の指摘でない限り、不法性を帯びないと保証し、自由な批判を広く許す」ことで、かえって、形骸化した監査法人監査の弊害、一般投資家にまるで「正しい」と思い込ませてしまう、を防げると思われる。 もし、こうした制度の自由と、批判の自由が認められたら、監査法人監査を受けている会社とそれを受けていない会社のどちらがよりマーケットで受け入れられるか、真の評価が得られることになろう。ことによると、担当する監査法人によって、著しい差が生じるかもしれないし、監査法人監査を受けない会社の方が高い評価を受ける可能性も十分にある。いずれにしろ、一般投資家が無批判に監査法人監査を受け入れるような悪弊は避けられることとなる可能性が高い。もちろん、そうした新しい環境の下で、監査法人の体質が変わっていき、「(一定の)監査法人監査を受けていない上場会社は信用を失う」というような事態が生じたら(それが本来の姿なのだが)、その時は、規制ではなく、マーケットの作用として、多くの会社が、自らの判断で、監査法人に、それも相手をよく選んで、監査を依頼することになるであろう。 少々無責任でも、疑問をインターネット等で取り上げられていたら、オリンパスも、これほど長くごまかし続けることなどできなかったはずである。誰かが、チクル、のが普通である。どうやら、証券業界の一部では、今回のオリンパスの飛ばしの話しは公然の秘密のようであったらしいが、そのようなことがこれほど長く公然の秘密として守られるというのが、一番の問題である。 今はインターネットで誰もが情報を発信できるのであり、監査法人に代わって、こういう見えざる投稿者を企業の監視人にした方が圧倒的に不正抑制の効果があるはずである。残念ながら、今の制度下では、監査法人は技術的な会計上のミスを指摘することにはたけていても、不正を抑制する力は持ち合わせていないと判断するしかなかろう。 もちろん、効果があるということは、一般の経営者にとってはやりにくいということであり、規制当局にとっても自分の縄張りが減るのであるから、決して賛成はしないであろう。しかし、いつか、この方向(規制を強めるのではなく、規制をなくし、批評をやりやすくする)へかじを切らないと、何時まで経っても同じ過ちの繰り返しである。 |
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